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ダンディー・ウォーカー症候群とは?
Dandy Walker Syndrome

更新日 : 2005/03/24

 注意事項 

 

 主治医とよくご相談ください

 

ここに書かれたことが全員に当てはまる訳ではありませんから、ご自身(又はお子さん)については主治医とよくご相談ください。当ネットワークでは責任を負いかねます。

 

 水頭症については別のホームページで学習してください

 

ダンディー・ウォーカー症候群と水頭症は切っても切り離せないものなので、水頭症に関する記述も多くありますが、水頭症に関する詳細は日本水頭症協会のホームページで学習してください。

 

以下は、風ちゃんの主治医である元国立成育医療センター脳外科のドクターに執筆して頂きました。

 


ダンディー・ウォーカー症候群(DWS)の医療ガイド


■ダンディー・ウォーカー症候群(DWS=Dandy Walker Syndrome)とは

DWSの本質は第4脳室とくも膜下腔の交通障害による先天的後頭蓋窩嚢胞形成.
発生時期は胎生6-8週.小脳虫部の低形成、静脈洞交会部高位は後頭蓋窩嚢胞による2次的なものと考えられる.(小脳虫部低形成はくも膜下腔との交通障害とも関連している可能性はある.)第4脳室と交通した後頭蓋窩嚢胞、小脳虫部低形成、静脈洞交会部高位が揃えば古典的DWS(あるいは狭義のDWS)となる.

小脳虫部低形成が不完全なもの、静脈洞交会部高位を伴わないものはDW類似症候群(あるいは広義のDWS)と呼ばれる.

水頭症の合併はくも膜下腔との交通障害が原因であり、後頭蓋窩嚢胞形成に連なるものである.必ずしも全例に最初から合併するわけではない(生下時にDWS患児の約80%では脳室拡大は認められず、多くは1才までに明らかになるといわれている).
水頭症は中脳水道狭窄を伴う場合も、中脳水道は開存している場合もある.
中脳水道狭窄も後頭蓋窩嚢胞圧迫による2次的なものである可能性もあり、いわゆる先天性中脳水道狭窄とは病態が異なると思われる.

DWSとはっきりと鑑別する必要があるのは他の第4脳室と交通していない後頭蓋窩嚢胞性病変である.具体的には後頭蓋窩くも膜嚢胞、拡大大後頭槽(mega cisterna magna)など.

■DWSの発生率

1/25000-1/30000出生

■DWSの症状、障害

70-90%で生後1年以内に症状が出現する.
頭囲拡大が1才以下では最も多い.多くは水頭症の進行によるもの.
1才以上では精神運動発達遅滞、頭蓋内圧亢進による頭痛、嘔吐.局在性の神経障害(脳神経麻痺、小脳症状、運動麻痺)の頻度は低い.小脳機能障害としての眼振、小脳失調も予測されるより頻度は低い.

このようにみてくると、DWSの病変の首座である後頭蓋窩病変に直接由来する症状・障害は意外と少なく、多くは合併する水頭症や他の中枢神経系異常・奇形に伴う障害と思われる.ただし、これまでの報告例の多くは発症時の症状のみであり、長期の成長後の障害(高次脳機能、平衡感覚機能なども含む)についてはまだ明らかにされていない.
発達予後との関係では、残存する小脳半球の形態学的異常との関連を指摘する報告も出ている.DWSそのものとしての障害以上に、失われた機能を代償する周囲の神経系の異常の有無が総合的な予後に大きな影響を与えている可能性も高いと思われる.

○しばしば合併する中枢神経系異常:脳梁欠損、脳瘤、中脳水道狭窄、脳皮質形
成障害、その他
○視力・聴力障害:水頭症、脳皮質形成障害
○発達障害:水頭症、脳梁欠損、脳皮質形成障害
○けいれん・てんかん:脳皮質形成障害
○DWSの約1/4に全身合併症を伴うといわれている.
心奇形
顔面奇形
骨格系の異常
消化器系の異常
泌尿器科領域の奇形

■DWS小児の経過観察の必要性

患児の多くが水頭症を伴うことより、水頭症に伴う各種合併症(発達障害、運動障害、視力障害など)を水頭症治療後の脳・脳室の形態学的変化と合わせて経過観察していく必要がある.また、上述したように発症時には乳幼児であるため評価が困難な小脳機能、平衡感覚機能、眼球運動の異常の有無などもこれからは長期的に経過観察していく必要があると思われる.

○画像評価:CT, MRI
○発達評価:運動機能評価、平衡機能検査、知能評価、眼科的評価、聴力測定など

■DWSの経過

これまでみてきたようにDWSの病変の中心となる後頭蓋窩嚢胞そのものによる特別な症状というのは思いのほか少なく、多くは合併する中枢神経系、あるいは全身の異常により影響されるものと思われる.
ただし、乳幼児期から学童期、思春期と進む中でどのような問題が生じてくるかについては現在のところ詳細な研究報告はなく、小脳機能、平衡感覚機能を含めた総合的な運動発達障害の成長後の評価はあくまで今後の課題である.また、これとは別個に社会性の獲得など心理的側面を含んだ発達行動学的評価も必要であるが、水頭症の合併もありDWS単独としての評価は難しいと思われる.

 


ダンディー・ウォーカー症候群(DWS)のQ&A


■Q1.ダンディー・ウォーカー症候群は、必ず水頭症を伴うのですか?

 DWSに水頭症を合併する割合は報告により異なりますが一般には80-90%程と考えられています.


■Q2.医師に「小脳の形成不全」と言われたのですが、「欠損」とは違うのですか?また、ダンディ・ウォーカー症候群は、小脳虫部がないことを言うのですか?

 小脳の一部のみ形成されていたり、形成され多少脳組織に異常がある場合に「形成不全」といいます.単に小脳が部分的に欠損しているだけでなく、組織的に異常を伴っている場合にも使われます.「欠損」は字のごとく小脳が形成されていない状態です.形態的な有無をみるだけで、組織的異常があるかどうかは関係ありません.
実際問題としては、形成不全と欠損は混同して用いられることもあるので、内容的に大きな差異はないと考えていいと思います.
DWSでは、第4脳室壁の嚢胞状拡大と、それに伴う小脳虫部の形成不全が病像の中心です.小脳、あるいは小脳虫部の形成不全だけを伴う病気は他にもいろいろあります.ただし、これらを正確に鑑別するには小児神経を専門とする医師でないと困難な場合も少なくありません.

■Q3.脳室拡大と嚢胞の存在が認められ、1度目のシャント術では脳室と嚢胞にそれぞれシャントを入れ、耳の後ろでY字コネクタでつなぎ、バルブを接続し、1本にしたシャントを腹腔へ入れました。しかし2度目のシャント術では、脳室-腹腔シャントを1本、嚢胞-腹腔シャントを1本、それぞれ別に入れました(腹腔には計2本入っています)。脳室拡大と嚢胞がある場合には、シャントはどうやって入れるものなのですか?

 手術のしかたは各施設によって異なります.他にも内視鏡下に第4脳室まで管を入れ、一本のシャントで済ますこともあります.最近では内視鏡的第3脳室底開窓術を行い、シャントせずに治療する場合もあります

■Q4.現在脳室と嚢胞にシャントを入れていますが、将来シャントが1本になったり、シャントが不要になったりすることはありますか?

 シャント不全をきっかけにシャントを一本にすることは可能な場合もあります.しかし、シャントが不要になるかどうかの判断は難しいところですし、シャントが機能している状態でシャント抜去を考えることは通常はありません.


■Q5.シャント手術と内視鏡手術のどちらを受けるべきか、どのように判断したらいいですか?

 病態によって異なり、単純にどちらがいい、とは言えません.シャントでなければなおせない場合もあります.又、内視鏡で大丈夫と思っても最終的にシャントが必要になることもあります.いろいろ合併症、管理上の難しさはあるにしてもシャント手術が一番確実な治療法であることに変わりはありません.

■Q6.まずは内視鏡手術をやってみて、穴が塞がるなどしてうまくいかなかった場合にシャント手術を行うことはできますか?

 可能です.というより、内視鏡手術を行う時は、内視鏡手術が奏功しなかった場合はシャント手術、という前提で行っています.


■Q7.年齢が低いときは内視鏡手術を受けても穴が塞がってしまうことがあると聞きましたが、何歳くらいで受けるのが適当ですか?また、それまではどうしたらいいですか?

 一般に、2才以下、特に生後6ヵ月以下での内視鏡手術の成功率が低いことが知られています.しかし、中には生後1週間以内でも内視鏡手術が成功する場合もあるので、やはりひとり一人の病態に合わせて検討する必要があると思われます.国立成育医療センターでは内視鏡手術の適応があると思われる場合には家族に乳幼児での成功率が低いことも伝えた上で、最終的にはどちらの治療法を選択するかを両親に判断していただいています.


■Q8.今はシャントを入れていますが、親としては将来的にはシャントがなくなったらいいなあ、と思っています。今後チャンスがあったら内視鏡手術をしたいと思っているのですが、どこにどんな時期にお尋ねすれば良いのでしょうか?

 先にも述べたように、シャントが機能している状態で内視鏡手術を試みてシャント抜去を考えることは、極めて特別な場合を除いては行われません.基本的には、シャント機能不全を生じた時に、内視鏡手術のできる施設で検討するのが一番無難と思われます.又、内視鏡手術を行っても最終的にシャント手術が必要になる可能性も高いことを、十分に理解していただいておく必要があります.


■Q9.シャントを一度入れるとシャントに依存してしまい、将来内視鏡手術を受けられなくなると聞きましたが本当ですか?

 これまで述べてきたように、これも病態によります.閉塞性の水頭症でシャントを行っていた場合には、内視鏡手術によってシャント抜去で切る場合もありますが、あくまで特殊な場合です.

■Q10. 削除


■Q11.主治医は、「内視鏡ではここまでの髄液の流れが期待できない。シャントは流れを調節出来るし、経験もあるので確実な治療が出来る。ここ数年程度のものでしかない治療法で、大切な時期にリスクを負うべきでない。」とおっしゃっています。内視鏡手術はリスクが高いのでしょうか。

 内視鏡手術のリスクが高いのでなく、ひとたび合併症が生じた時に大きな障害を起こす可能性があることと、まだまだ小児の内視鏡手術に経験のある医師が少ないことが原因と思われます.又、乳幼児では成功率が低くなることも事実ですが、適応があると思われるならまず内視鏡手術を行い、効果ない場合にシャント手術という選択で問題ないと考えています.ただし、内視鏡手術に経験のある施設でないと、第3脳室底開窓術を行っても開窓の大きさが不十分だと、早期に閉塞する可能性はあり得ます.内視鏡手術を行う場合には、くれぐれも小児の内視鏡手術に経験の深い医師のいる施設で行うことを薦めます.

■Q12.ダンディー・ウォーカー症候群に対する治療法はないと言われますが、親としては、何かしてあげたいのです。リハビリなど、何かできることはありませんか?

 DWSに対して、現在の時点で治療といえるようなのは水頭症に対するものだけです.後は症状に応じて、発達を促すことを目的にリハビリテーションを組み合わせてもらうことになります.これは、DWSだけでなく、中枢神経系の障害を持ったこどもの(広い意味での)治療の原則です.


■Q13.ダンディー・ウォーカー症候群にはハリ(鍼)が聞くとアメリカのMLで読みました。本当でしょうか?

 分かりません.個人的には、現在行っている治療に障害にならないのであれば、いろいろな方法を試していただくことは(こちらから勧めることはありませんが)問題ないと考えています.

 

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